「ファミリーサポート論」講義 東京工科大学様|2024年4月


今年で3回目となる、東京工科大学医療保健学部 看護学科の皆様への講義を行ってまいりました!
今回の授業は、4年生の「ファミリーサポート論」。
学生の皆様は3年次の小児看護学実習で保育園や小児病棟での実習を経験しており、今回の「ファミリーサポート論」ではより当事者の声が届くようにしてはどうだろう…ということで、みかんぐみから当事者家族5組が、それぞれの想いを話す機会といたしました。

「医療的ケア児という言葉を知っている人~」では大多数の手が挙がり、法制度に伴ってここは年々認知度が上がってきていることを改めて実感。ところが「医療的ケア児が身近にいる、見たことがある人~」となると、ほぼゼロ。きっとこれが社会の体感だろうと思います。

まずは、みかんぐみの活動について代表理事よりご説明させていただいた後、5組の家族紹介へ。
医療的ケア児・重症心身障害児と一口にいっても、子どもの数、家族の数だけ様々です。特に医療的ケア児というのは、活発に走り回る子もいれば、全介助が必要な状態の子もいることは皆様ご存じのところでしょう。
また同じ医療的ケアの内容でも、その頻度が違うと関わり方もぐっと変わってきます。
5組の保護者から、子どものこと・家族のこと・そして看護師との関わりについて話をさせていただくにつれ、学生の皆様がより前のめりに、真剣にお話を聞いてらっしゃるのがこちらまで伝わってきました。


いろんな家族のカタチがある

充分に伝わったのではないかと思います。
そのあとは、3つのグループに分かれてワークを。
学生の皆様からは、家族への質問や看護師に求めること、看護師にされて嬉しかったことor嫌だったことなど様々な質問が出ました。その答えも子どもや家族の分だけあるのでしょうが、「生の声」に皆様熱心にメモを取りながら参加してくださいました。

授業後、皆様のレポートをシェアしていただきました。
その一部をご紹介します。

「看護師さんは最強のパートナー」という言葉がとても印象的でした。お子さんのケアはもちろん、
家族の方の精神的ケア・レスパイトケアを行い、私もこのお言葉のように患者様に思っていただけるような看護師になりたいと心から思いました。

どんなに分かろうとして学びを深めても全ては分かれないし、気をつけていても知らず知らずの内に自分の無意識のうちの発言で傷つけてしまうのでは無いかなどと考え小児看護の道へ進む事を躊躇っていました。しかし、本日、5人のお母様方のお話全ての中に心の支えになった、看護師とのたわいも無い会話がいつもの自分に戻してくれた等の看護師への感謝が入っており、自分の考えにズレがある事に気付かされました。

看護師が「わかるよ」をあげられなくても、みかんぐみさんのような似た境遇の方々が集える空間で「わかるよ」を貰えること。看護師はその「わかるよ」を本当に体験し、心からかわっている人達から貰える環境があるという情報の提供をすることが役割であると認識させられました。私自身の看護観やこれからやりたいことへの考えが大きく変わる一日でした。

これまでの私だったら、ご家族が受容することができるようにどんな支援ができるかといった視点からも援助を考えていたかもしれませんが、本日のお話を聴き、大切なことは、状況や現実を受容することではなく、受容できなかかったとしても、そのお子さんがお子さんであることを受け入れ、そのご家族なりの生活を歩んでいくことが
できるように、医療的ケアに関する面だけでなく、1番の理解者として精神面からも全面的にサポートし、寄り添うことであると感じました。

授業では何度も、重症心身障がい児や医療的ケア児について学んできていたが、このように当事者の方々やそれを支援する団体の方とお会いするのが 初めてだったため、本当の声を聞けた気がして非常に良い機会だった。5人のお母様からお話いただいたが、自分自身が考えていた以上に、皆様、この 団体や看護師の方を大きな支えとしていることを知った。例えば、同じような境遇の方と話し合えることや、訪問看護師の方とたわいもない話ができ ることなど、常に家にいなければならないのかも、などという偏見から脱することができたのだ。 正直、皆様の経験をお話しされている際、常に涙が出そうだった。日々育児をされているお母様方の強さを実感したからだ。

学生の皆様の素直で力強い声に、私たちの方が元気をいただけたような気がします。
未来の医療職者を精いっぱいの拍手で応援していきたいと思います!