小児看護学講義 東京工科大学様|2023年5月 


昨年ご縁をいただき、東京工科大学看護学科4年生の皆様に講義をさせていただきました。そして今年もまた、ご縁がつながり、2年生の「小児看護学」授業にて講師を務めさせていただきました。
今年もみかんぐみにお声をかけてくださったこと、感謝申し上げます!

お話しした内容は、医療的ケア児・重症心身障害児を取り巻く状況と、当事者家族のリアルな声、さらに当事者の気持ちを大切にしながら活動しているみかんぐみのこと。
学生の皆さんは、テキストで「医療的ケア児・重症心身障害児」を知っている方がほとんどながら、対面したり直接の声を聴く機会はなかなかないとのことでした。
当事者家族の声として、みかんぐみの理事3人の話をお伝え。
一口に、医ケア児・重心児といってもその人の分だけ、家族の分だけ想いがあります。言葉だけで、イメージを先行してほしくない。「そこに人がいる」ということを知ってほしい。そんな気持ちでお話ししました。

講義の後は、グループに分かれてそれぞれ疑問や質問、感想を話し合い発表いただきました。
皆さん熱心にメモを取り、話し合っている姿が印象的でした。
授業の後、改めて感想をお送りいただきましたが、私たちの想いが伝わった!!!と感じられる素敵な感想ばかりで胸が熱くなりました。
お話しさせていただける機会をいただき、我々の方が感謝の気持ちでいっぱいになりました。改めてありがとうございました。

90名弱の皆さんの感想からいくつかご紹介します。

◆医療的ケア児のことを授業で学ぶことはありましたが、実際に医療的ケア児と生活したり接したりしている方のお話を聞いて、授業で学んできたことにより抱いたイメージとは異なる部分がありました。先天的のものだとしたら、育てられるのかと悩み、産むことを決断するまでに多くの不安や心配があると思います。後天的なものだとしたら、産んだあと現実を受け止められず、抱え込んでしまったり、育てることへの自信を喪失してしまったりと、簡単に覚悟を決め受け入れ、対応していけるものではないと思います。将来への不安がつきまとう生活で余裕がなくなってしまい、心を閉ざしてしまうこともあると思います。しかし、その印象がガラリと変わり、子どもとしっかりと向き合い、大切に思いながらも自分の時間も確保している様子でした。もちろん、ここにくるまでに多くの葛藤や苦しみがあったとは思いますが、前向きに生活している姿を見て、すごく元気をもらうことができました。また、看護師の献身的なサポートあっての今だというお話を聞き、自分も医療的ケア児を持つ家族に寄り添い、子どもだけでなく家族全体を支え、力になれるような看護師を目指していきたいと思いました。家族だけの問題だからと外部との接触を遮断してしまうことのないよう、積極的に関わり変化に敏感に気づけるよう、まず知識をつけ、実習やその先に繋げていけるようにしたいと思います。ありがとうございました。

◆私たちは医療従事者側の意見を聞くことがおおいが、今回の授業を通して、ケアを受けている人の生の声を聞くことができた。その結果、看護師になった時にどのような事をしたらいいのか、より患者に寄り添うことができることはなにか、考える幅が広がったと考える。また、医療ケア児の親になるタイミングや自宅環境は人それぞれであり、その人たちの話を聞きその人に合ったアイデアや情報を提供できるようになりたいと考えた。そのためにも、今までに習ったことやこれから習う多くのことを確実に身につけて行きたいと考えた。

◆患者とその家族に寄り添うことができ、何でも相談することができ、悩みや不安を気軽に共有できるような看護師になりたいという思いが強い。今日のお話を聞いてから、小児の訪問看護師が1番自分の目指す看護師像を実現することが出来るのではないかと思った。

◆医療的ケア児であることを生まれた後に知ることに対して、子供をうみ育てるだけでも不安で沢山なのにどんなに不安で心配だったのかと考えた。その中でその医療的ケア児と関わる医療者みんなが前向きに接して赤ちゃんだけでなくお母さんとその家族を笑顔しに生活に明かりをともしていると知った。私も看護職になりたいと考える一員としてそうでありたいと思ったと同時に知識をつけ情報を提供出来る存在になりたいと思った。

◆在宅看護学で医療的ケア児についての知識は学びましたが、実際に支援しているご家族の生の声を初めて聞くことが出来、医療者の視点、ご家族の視点など多方面から学ぶことが出来とても理解が深まりました。医療職を目指している自分にとって看護師さんに感謝しているというお話を聞き誇りに思うと同時に自分も大学でもっと看護学について知識・技術を学びこのような看護師さんになりたいなと改めて強く思うことが出来ました。本日の講義で自分の視野や知識の幅が広がったと思います。本当にありがとうございました。

感謝の気持ちを込めて、みかんぐみ代表理事の村より学生の皆さんへ返事をお送りいたしました。一部をご紹介します。

皆さんは在宅を支える看護師の重要性について理解を得るとともに、そんな大切な役割を担える看護師という職を目指せることが嬉しいという声が多数ありました。若き看護師プライドに接し、魂を揺さぶられる思いでした。

また、支援する側・される側と考えがちだけれども、実は社会の関係性というのはもっと相互的で豊かなものではないのか、ということに気がついた方もいたようです。みかんぐみは当事者団体として、支援される側に位置づけられがちだけれども、ピア相談などでは行政の専門職でも担えない、支援する者の側面を持っています。
さらに、重度障害児は自分の意思を表せず支援を受ける一方にみえますが、彼らに接した支援者やボランティアが異口同音に「元気をもらった」「楽しい時間を過ごせた」「また一緒に過ごしたい」というのは、気持ちが響き合う中で与えられているものがあるからだと思います。

みなさんは、その若さにして、人を支える力(基盤)を備えていること、とても驚きです。
どうぞいつまでもその誇りを大切にし、人に寄り添える看護師として活躍して欲しいです。
そして、みかんぐみと一緒に、誰もが笑顔で、支え合っていける社会をつくっていきましょう。