6月27日、みかんぐみ分科会「きょうだいのことも話してみよう!」を開催しました。
みかんぐみでは初の試みとなる「きょうだい企画」です。障害や病気のある人の兄・姉・弟・妹を「きょうだい」と呼び、子どものきょうだいを「きょうだい児」と呼びます。子どもたちそれぞれのことはそれぞれのママ友と話す機会もありますが、「きょうだい」について話せる機会はなかなかないものです。今回の分科会では「きょうだいのことも話してみよう!」と題して、有馬桃子さんによるご講演、4人の親御さんによるスピーチ、参加者の親御さんを交えてのフリートークを行いました。
まずは有馬さんのご講演「きょうだいからのメッセージ」。有馬さんは臨床発達心理士・介護福祉士であると同時に、ご自身も知的障害の妹さん(故人)のきょうだいでもあります。現在はきょうだいの心理や支援についての講演を各地で行っていらっしゃいます。
講演の内容は、きょうだい支援・家族支援の必要性、きょうだいの育ちと気持ち、きょうだいへの寄りそい方のヒント。
まさに親が知りたいことが盛りだくさん!同時に、支援者の方や周りの方にも知っていただきたいと思うことも沢山含まれていました。今回の参加者の中には支援者の方々もいらっしゃったので、その方たちに知っていただけたのは、親としてとてもありがたい機会でした。
講演の中で「家族はモビールのようにお互いに影響し合い、無意識にバランスをとろうとする」というお話がありましたが、「あぁ、そのとおりだな」と思いました。だからこそ、家族のあり方も、きょうだいの育ち方や思いもそれぞれ違って、いろいろになるのだなぁと。
また、有馬さんご自身がきょうだいとして経験された思いなどについてもお話しして下さいました。親は「きょうだい」という立場にはなれないので、「きょうだい」が何を思い、どう考え、どう育っていくのかがとても気になります。きょうだいとしての思いを聞く段階になると、親としてはちょっとドキドキしてしまいました。ですが、有馬さんはきょうだいという当時者であると同時に専門的な知識もお持ちなので、ご自身の体験を客観的に語って下さいます。そのためか、聞いていてすうっと心に入ってきました。きょうだいの育ちについては不安がいっぱいあったのですが、幼児期や学齢期などの成長につれてのきょうだいの気持ちの変遷や、あったらよいであろう支援についてなどを知ることによって、不安がちょっと軽くなりました。また、「そうか、こういうこともありえるんだ」と心の準備が出来たり、「あぁ、あの時にあの子がああいう態度をとったのは、もしかしたらこんな願いがあったからかも」という気づきを得ることもできました。
講演の最後では、きょうだいへの寄りそい方のヒントをたくさん教えていただきました。親自身のセルフケアを大切にする、コミュニケーションの工夫、生活のバランスや環境の工夫などなど。目の前のきょうだいをその子自身として見るために、「あなたは大事な存在なんだよ」と伝えられるようになるために、ヒントを参考にしてちょっとできそうなところから始めてみたいと思います。
有馬さんの講演の次は、親御さん4人のスピーチ。
・きょうだいを産むことへの思い
・きょうだいに期待をかけるまわりの人たち
・家族だけでは乗り切れない状況
・きょうだいを思っている家族以外の存在
それぞれがきょうだいを気にかけ、大切に思っていること。けれども、家族頼みではこどもたちに負担がかかってきてしまいがちな現状などについての具体的なエピソードを交えたスピーチです。さらに有馬さんからの質問により、親御さんの心の揺れや困りごとなどが引き出され、考えさせられる内容となりました。
最後は、参加者の親御さんも交えて、ランチをしながらのフリートークです。日頃は話す機会のなかったきょうだいたちの「あるある話」やきょうだいたちの困ってしまう言動、不安に思っていること、あったらいいなぁというきょうだい企画などなど。話はとまらず、予定時間を過ぎてもまだまだ続きそうな勢いでした。
みかんぐみ初のきょうだい企画である「きょうだいのことも話してみよう!」を開催して、こどもたちが安心して育つためには多くの見守ってくれる存在が必要だと再認識しました。どの子もみんなのびのびと育つことができるように、周囲の大人が手を取り合いながら、安心できる環境を作れるようにしていきたいと思います。