「大人になったらどう暮らす?~成人後の暮らしを考えるシンポジウム~」を開催!| 2025年8月


こちらの記事をお読みいただいた最後に、アーカイブ配信の申し込みフォームがございます。

みかんぐみ副代表理事である荻野の熱い思いから始まり、卒後の暮らしを考えるシンポジウムが2025年8月30日に会場75名、オンライン137名の多くの皆様にご参加いただき、開催致しました。シンポジウムには、ファシリテーターに東京おでかけプロジェクト代表の中嶋弓子様、登壇者には、福岡からみんなのプロジェクトの水野英尚様、千葉のすくすくハウスの大久保夏樹様、そして世田谷HABING代表の熊谷勇太様をお招きしました。

まずは、ご挨拶と今回のシンポジウム開催の目的について荻野よりお話しさせていただきました。彼女のお子さんは医療的ケア児で、現在中学3年生。義務教育の終わりを迎える今、「18歳以降の暮らし」への不安が現実味を帯びてきており「親が亡くなった後、この子はどうなるのか?」という不安はみかんぐみを立ち上げた頃と今も全く変わりません。医療的ケア児支援法の施行など、制度的な変化はありますが、子どもたちの将来については、なお多くの課題が残っています。病気や障害があっても、子どもたちが自分らしい生き方を望み、描ける社会であってほしい。親がいなくなっても「大丈夫」と思える未来をつくりたい。そう願って、このシンポジウムを開催したとの想いを語りました。

第1部では、3名の登壇者の方が事業所についてご紹介してくださいました。それぞれのご発表を簡単にご案内します。

1.みんなのプロジェクト水野様:水野様は、32歳の医療的ケアのある娘さんを持つ当事者のお父様です。現在の社会では、障害のある人の暮らしの場は施設やグループホームに限られていることが多く、特に医療的ケアが必要な人の選択肢は非常に少ない現状と短期入所も介護者の都合によるもので、本人の意思や希望が反映されにくいという課題をお話くださいました。また、それぞれの「弱さ」(課題)を分け合うことで「助け合う」(力)が増え、個々の家族の「弱さ」(課題)を開くことで、新たな「信頼関係」と出会うということが、ゆるやかな「新しい家族」というつながりを作っていくために大切なキーワードであるとも。福岡では既存の施設やグループホームとは異なる「シェアドホーム」という形で、「はたけのいえ」や「こもんのいえ」といった新しい暮らし方を実践されています。「自立」とは、必ずしも一人で生きることではなく、むしろ「助け合える関係性をつくること」、また依存や支援を否定するのではなく、それを前提とした社会のあり方こそが重要だと語られていたのがとても印象的でした。

2.ワーナーホーム すくすくハウス施設長大久保様:社会福祉法人ワーナーホームは1988年に柏市で設立され、精神障害のある方々と共に歩んできた法人です。声にならない声に耳を傾けながら、地域に開かれた居場所や就労支援の場を作ってこられました。すくすくハウスは、医療的ケアが必要な子どもたちが成長し、大人になっても安心して暮らせる場をつくるため、寄付活動やクラウドファンディングで地域の支援を得て、2023年に開所されました。現在は、医療型短期入所、通所、訪問看護などを提供し、約90名が利用されているそうです。また、重度障害のある方が農業に関わる「コミュニティ農園」や、働く場としてのカフェ・キッチンなども展開し、本人の働きたい気持ちを大切にされています。すくすくハウスは単なる施設ではなく、「暮らし方の選択肢を広げる場所」であり、大人になることが不安ではなく楽しみになるように、地域とつながりながら、安心して生きられる社会を目指されています。

3.株式会社HABING熊谷様:自身の福祉現場での経験から、既存の制度や支援体制に限界を感じ、「住まいと支援を一体化」した新しい仕組みとして都市型シェアハウス「IDEALアイデアル」を立ち上げられました。対象は18歳以上の障害者や要介護者で、24時間365日のマンツーマン支援が可能。バリアフリーや入浴設備など、暮らしの細部にまでこだわった設計を自社で手がけていらっしゃいます。支援スタッフや看護師も常駐し、実践的な研修体制も構築。都市部ならではの利便性を活かしながら、「ただの施設」ではなく「自分らしく暮らせる家」を提供されています。HABINGの理念は「選択肢と可能性を広げること」。今後も、自由であたたかい暮らしを支える住まいづくりを続けていきたいと語っていただきました。

3名の登壇者から、今の事業に至るまでの思いや取り組みの様子を知ることができ、どういう暮らしを我が子にしてもらいたいのか、またどのような居場所があれば安心して我が子を預けられるのか、具体的な絵が少しイメージできたような気がします。

15分間の休憩をはさみ、第2部では、登壇者3名に加えてみかんぐみ荻野も参加し、ファシリテーターの中嶋様が、様々なテーマを4名に問いかけながらのゲストディスカッションです。ディスカッションでは、初めにアンケートや具体的なエピソードを紹介していただき、「障害がある人の青春期〜成人期の生活の乏しさ」や「高等部卒業後の居場所のなさ」「親亡き後の不安」が問題提起されました。そして、この問題に対してディスカッションしていく中で、本人の夢を叶えられる社会を目指すこと、地域・親・支援者が一緒に「暮らしの場」を作っていくこと、また「大人になるのが不安」から「楽しみ」へ転換できる社会を目指すべきであるという共通認識が結論として挙げられました。

中嶋様の緩急ある素晴らしいファシリテートに感嘆しながら、50分間のディスカッションはあっという間に感じられました。アプローチのやり方は違っても、子どもたちや当事者家族に寄り添いたい、笑顔が見たいという御三方のあたたかい信念がこういった素敵な居場所を作り上げているんだなととても納得できました。また、資金繰りや人材確保など、現実的な課題を抱えながら事業をされているご苦労も知れてよかったです。当事者家族としてこのシンポジウムの運営に携わらせていただき、今回行政や地域の方に私たちの思いを発信できたことはとても大きな一歩だと感じましたし、新たに協力していただける方との出会いを楽しみにしつつ、次のステップに向けて引き続きみかんぐみの仲間と一緒に子ども達と私たちの楽しい未来を作っていけるよう歩んでいけたらと思いました

事後アンケートでも、満足度が4.8以上と高く、「勉強になった」「多彩なゲストが暮らしについて当事者やご家族が具体的に考えやすいお話をしていただけて良かったです。」というお声や「ぜひ地域を超えて一緒にやっていきましょう」と多数ご連絡先もご記入いただけました。ご登壇いただいた皆様、ご参加いただいた皆さまに改めて感謝申し上げます。誠にありがとうございました!

※本事業は、令和7年度 独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業の助成を受けて活動しています。

アーカイブ動画のお申し込みは、こちらからお願いします。https://forms.gle/K8TWukDWVdgfJmp2A

後援:杉並区