ピアサポート立ち上げ支援in石川「さくらんぼすまいる」様


どこに住んでいても、『大丈夫だよ』と言い合える場所がある。そんな当たり前をつくりたくて、みかんぐみでは、全国各地にてピアサポート立ち上げ支援を行っております。

そして、今年度最後の立ち上げ支援として、3月初めに石川県金沢市で重症心身障害児・医療的ケア児相談支援事業をされているさくらんぼすまいるさんに伺いました。会場は、石川県立図書館。足を踏み入れた瞬間、まるで巨大な円形劇場のようなパノラマが目の前に広がり、全員が感嘆の声をあげました。

石川県立図書館

代表の高村さんは、かつて医療的ケア児であった長女さんを育てながら、暗闇のような孤独の中にいたそうです。「誰に助けを求めればいいのか分からない」——。その時の切実な想いが、今の活動の原動力となっています。お子さんが空へ旅立った後も、「お母さんたちを一人にさせたくない」という想いは変わらず活動を続けられています。

その想いが形になる転機は、人との繋がりから訪れました。PTA活動で知り合った議員さんとの再会をきっかけに行政との扉が開き、最初は小さなデイサービスの一角で、お母さんたちの相談会が始まりました。

医療的ケアってどんなこと?パネル展示

そして、その活動はやがて金沢市の「チャレンジ事業」として採択され、現在では市の委託事業として、地域になくてはならない存在へと成長を遂げています。現在は16名の仲間や専門職と共に、勉強会や講習会、またピアサポーターの養成なども行われています。ちょうど金沢市役所第二本庁舎で開催されていた医療的ケアを知ってもらうためのパネル展示も拝見でき、地域全体の理解を広げようと尽力されているその活動に、深く感銘を受けました。

高村さんのお話の中で特に印象的だったのは、「ピアサポートの一番の価値は、わかってもらえる人がいること」という言葉です。同じ立場にある親同士だからこそ深く共感し合えることがあり、「自分は一人ではない」と感じられることが大きな支えになるのだと語ってくださいました。また、活動を一人で抱え込み、限界を感じていた時に、本音を吐露する勇気をくれたのがみかんぐみだったそうです。それをきっかけに「周囲を信じて任せる」という自分の心持ちが変わったことで、自然と手を貸してくれる仲間が増え、活動の輪が広がっていったというエピソードもお話してくださり、ピア立ち上げ支援を通して組織運営の課題についても寄り添えるこの活動に大きな意義を改めて感じることができました。

さくらんぼすまいるさんも参加いただいている「医ケア児・重心児ピアサポートネットワーク」では、隔月オンラインにて、全国各地で活動されている皆様とつながり、情報共有を行っております。今後も各地でピアサポートの我が広がっていくよう、みかんぐみとして活動していきたいと思います。

そして今回のピアサポート支援では、以前から見学してみたいと思っていた社会福祉法人佛子園様の運営する「Share(シェア)金沢」にも足を運ぶことができました。テレビ番組で佛子園の取り組みを知り、色々な人が自然に交わりながら暮らす“ごちゃまぜ”のまちづくりに強く惹かれ、いつか訪れてみたいと思っていた場所でした。こちらでは併設のお蕎麦屋さんで食事をいただきながら、マネージャーの速水様からお話を伺うことができました。

Share金沢は、障害のある人、高齢者、学生、地域住民など多様な人が関わり合いながら暮らすコミュニティです。施設内には福祉事業所だけでなく、温泉や飲食店、スポーツジム、ライブハウス、ドッグランなども併設されており、地域の人が日常的に訪れる「地域に開かれた場所」となっています。

その中心には、障害のある人もない人も、誰もが当たり前に過ごす事のできる「ノーマライゼーション」という考えがありました。この場所は、最初から大きな計画があったわけではなく、「こんな場所があったらいいな」という純粋な思いから、地域の方々と共に少しずつ形づくられてきたそうです。

実際に見学していると、地域の方が温泉や飲食店を利用するために次々と訪れており、障害のある人のための施設というよりも、”地域の中に自然に福祉がある場所”という印象を受けました。

誰でも訪れることができる場所をつくり、関わりの中で人が元気になっていく。Share金沢と佛子園の取り組みは、福祉だけでなく「地域づくり」としての可能性を感じるものでした。また、Share金沢の特徴は、障害のある人同士や引きこもりの人同士、高齢者同士など、同質の関係に留まらず、障害者と高齢者といった異なる立場の人々も交わる多様性のある関わりによって、従来の枠を超えた新しいピアサポートの形が生まれていると感じました。

一緒に伺ったメンバーとも「また訪れてみたいね」と自然と話題にあがる、そんな素敵な場所で、自分の子どもの将来を思い浮かべたとき、こうした場所が地域の中に当たり前にある社会になるといいなと感じました。

※ピアサポート立ち上げ支援は、令和7年度 独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業の助成を受けて活動しています。