「私たちのピアサポート交流会のつくり方シンポジウム」オンライン開催|2025年3月


全国各地の「ピア活動を我が地域でも!」の熱い声に導かれ、みかんぐみではピア活動立ち上げの支援を行っております。2024年11月には、各地域を結ぶ「医療的ケア児・重症心身障害児ピアサポートネットワーク」も発足させました。

2025年3月初旬、今回はZOOMを活用して、全国各地の家族会・支援者団体や行政の皆さまを繋いで、オンラインにてシンポジウムを開催致しました。

(本会は、重症児等とその家族に対する支援活動応援助成 (中央共同募金会)様の助成を頂いて実施しております。)

当日は、ZOOM配信のリアルタイム視聴者43名、アーカイブ視聴を含む事前お申し込みは180名と、多くの方にご参加をいただきました。ピア活動に対する皆さまの関心の高さがうかがえます。

開始時間になり、シンポジウムがスタート!

まずはみかんぐみ代表理事の村より、ご挨拶と今回のシンポジウム開催の目的についてなどをお話しさせていただきました。

「ピア事業は行政をはじめとした支援者との協力関係が不可欠です。このシンポジウムが全国の当事者家族を支える体制作りのきっかけになればと思います。」と、村代表。

第1部は、家族会による取り組みの紹介です。それぞれのご発表を簡単にご案内します。
・1組目『認定特定非営利活動法人みかんぐみ』:長年伴走いただいている杉並区高井戸保健センターの安藤様にも同席いただき、ピアサポート事業のこれまでの取り組みや、2杉並区の委託事業になるまでの経緯などをご紹介しました。「事業を通して三者(参加者・ピアスタッフ・自治体)三様のメリットがある」これはみかんぐみがいつもお伝えしている言葉です。当事者、支援者どちらか一方ではなく一緒に住みやすい地域づくりをしていきたい、その想いを込めたピア活動についてお話をしました。

・2組目、石川県金沢市を拠点とする『重症児・医療的ケア児相談事業さくらんぼすまいる』:代表高村様の今までのご経験やそれを踏まえての『さくらんぼすまいる』設立までの経緯、また活動が軌道に乗るまでの困難などを丁寧にお話しいただきました。叶えたいことをしっかり言葉にして発信していくこと、そして、行動に移すことの大切さがひしひしと伝わる発表でした。先般の能登半島地震を受けて防災活動にも力を入れていらっしゃるお話も大変興味深かったです。

・3組目、三重県を拠点とする『三重県重症ケア家族会SMILE』:これまでにみかんぐみスタッフが現地へお伺いしてピアサポート交流会研修会を2回行っており、また今年1月には東京へお越しいただいて実際のピアサポートも見学いただいています。今年に入り、三重県で初めてのピアサポート交流会を2回開催され、研修や事前準備の重要性を非常に実感されたお話を熱くお聞かせいただきました。「ピアの力ってすごいなと改めて感じました」という言葉が印象的なご発表でした。

各団体の発表の後は、家族会同士でのディスカッション

「活動拠点が県全域に及ぶのか、市単位なのか」など組織規模や各行政の制度の違いなどもありながら、お互いに共感できる点を発見したり情報交換ができる大変有意義な時間となりました。

特に、『今現在困難な状況にある親御さんにとって「家族会に入ろう」というワンアクションを実行するのはとても大変なこと。自身で家族会にたどり着いていなくても「この自治体に住んでいると、こういう場があるよ」と行政側からアプローチして頂ける仕組みが広まることが理想的なのでは』という意見は、とても重要な視点ではないでしょうか。ピア事業の運営と自身の生活との両立や、運営スタッフの役割分担などについても話題が及び、各地で今まさに奮闘されている家族会の方々には共感いただける内容が多かったと思っています。

ディスカッション後は小休憩を挟み、第2部では、支援者による取り組みの紹介です!

・1組目は『東京都多摩立川保健所と、国分寺市障害福祉課』:立川市・昭島市・国分寺市・国立市・東大市・武蔵村山市の6市を管轄されている多摩立川保健所の相談状況などをご紹介いただいた後、国分寺市の支援を受けて昨年実施された未就学の医療的ケア児や重症心身障害児とその家族を対象としたピア交流会についてご報告いただきました。参加者や関係者からも好意的な声や、「交流会を継続してほしい」「自治体として何ができるか考えるきっかけになった」といったアンケートが寄せられ、好評な会だったそうです。

・2組目は、沖縄県を拠点に活動されている『一般社団法人Kukuru』:医療的ケアが必要な子どもと家族の 沖縄小児在宅地域連携ハブ拠点を運営されており、現在、開催中の『医療的ケアベビーを迎える家族のための両親学級』の実施に至った背景や、参加者となるご家族への周知に関する課題などもお話しいただきました。イベントと組み合わせたゆったりとした空間で、赤ちゃん期にフォーカスしたピアサポートならではの活動内容も充実しているご発表でした。

支援者側で登壇いただいた2団体と、みかんぐみと活動を共にしてくださっている杉並区高井戸保健センターの安藤様も交えてディスカッション

ピア事業実施にあたっての課題感や、開催してみて感じたピアサポートの意義について、また、家族会がピア事業を始めたい場合の行政の相談先についてなども意見交換が行われました。

支援側においても地域性の違いはありながら、参加者集めに関するお悩みやオンライン開催という形式についての情報交換など有意義な時間となりました。

最後に質疑応答の時間が設けられ、参加者の方から事前に寄せられたご質問やその場ででたご質問に、各登壇者の皆さまよりご回答いただきました。支援者側の方にも高い関心を寄せていただいていることが垣間見え、今後への期待が膨らむ内容だったと思います。

また、1人で頑張るのではなく「同じ想いの人を3人集めるとよい」という実経験に基づくアドバイスは、全国各地のどの団体、これからピア事業に取り組まれる方においても、参考になるものだったのではないでしょうか。今回のシンポジウムは行政や保健師の方々にもご登壇いただいており、ピア事業の立ち上げを検討している方へ向けて「まずは是非声をかけてください」というお言葉をいただけたことは、ピア事業の普及においても大変意義のあることではないでしょうか。

引き続き、みかんぐみならびに「医ケア児・重心児ピアサポートネットワーク」内でも情報交換や相互学習が盛んに行われることに期待します。ご参加を検討されている方がいらっしゃいましたら、上記ページにあるお申込みフォームよりご連絡ください。

事後アンケートでも、満足度がどのパートも4.7以上と高く、「当事者・支援者双方の話が聞けたのがとてもよかった」というお声を多数いただけました。主催として大変うれしく、ご登壇いただいた皆様、ご参加いただいた皆さまに改めて感謝申し上げます。誠にありがとうございました!

ご登壇いただいた皆様&みかんぐみ事務局と記念撮影

※本事業は、「赤い羽根 ポスト・コロナ(新型感染症)社会に向けた福祉活動応援キャンペーン」の一環である「重症児等とその家族に対する支援活動応援助成 第3回」の助成を受けて活動しています。寄付者の皆様の温かいご支援、心より感謝申し上げます。ご寄付は大切に使わせていただき、活動を発展させてまいります。